男性育休を取らなかった後悔は取り返せるのか|取得率50.9%時代に残る「5つの後悔」と、今からできること


📖 この記事の目次
  1. この記事でわかること
  2. まず数字を置く。もう「取らない側」が少数派になった
  3. 取得率が上がっても、産後の山は埋まっていない
  4. 「取らなかった後悔」は5つに分かれる
  5. 1. 妻の記憶に残る後悔
  6. 2. 子どもとの時間の後悔
  7. 3. お金の後悔
  8. 4. キャリアの後悔
  9. 5. 家庭内の初期設定の後悔——本命はここ
  10. 「取らない理由」4つに、データで返す
  11. 理由A「職場が回らない」
  12. 理由B「収入が減る」
  13. 理由C「うちの会社には制度がない・前例がない」
  14. 理由D「言い出せない」
  15. 申請を受ける側から言うと、いちばん困るのは「直前」
  16. 双子家庭は、そもそも「取らない」が選べない
  17. 出産当日、私の携帯は鳴った
  18. 産後を過ぎてしまった人へ。今からできること
  19. 妻側の「取らせなかった後悔」もある
  20. よくある質問(FAQ)
  21. Q1. 産後に取れませんでした。今からでも育休は取れますか?
  22. Q2. 2週間だけでも意味はありますか?
  23. Q3. 育休を取ると出世や評価に響きませんか?
  24. Q4. 双子だと育休は2倍取れますか?
  25. Q5. 夫が「うちの会社は無理」と言います。どう話せばいいですか?
  26. Q6. お金は結局どれくらい減りますか?
  27. まとめ:後悔は減らせる。ただし、話さないと減らない
  28. あわせて読みたい
  29. 出典

「上司に切り出せないまま出産予定日が来て、結局2日しか休めませんでした。5年たった今でも、妻はその話をします」

「夫に育休を取ってほしい。でも『うちの職場は無理』の一言で会話が終わる。もうどう言えばいいのか分かりません」

——どちらも私の話ではありません。管理職として、そして双子パパとして、実際に聞いてきた声です。

一卵性双生児のサクラとモモ(9歳)を育てている、39歳の双子パパ部長です。

この記事は、制度の説明ではありません。制度と給付金の整理は双子のパパ育休はいつ・どれくらい取る?に全部書いたので、そちらをどうぞ。ここで扱うのはその手前と、その後——取るか取らないかを迷っている人の本音と、取らずに過ぎてしまった人の後悔です。

先に立場を明かしておきます。私自身は、双子が生まれたときにまとまった育休を取って復帰した側です(その経緯と制度の話は57番の記事に書きました)。そして今は、部下の育休申請を受ける側の管理職でもあります。年に何度か「相談があります」と切り出される側にいます。だから、取った側の実感も、取りたい側の言い分も、職場が渋る側の理屈も、ひととおり見てきました。そのうえで、この記事では後悔の中身を分解して、取り返せるものと取り返せないものに分けることをやります。

結論から書きます。「取らなかった後悔」の大半は、休まなかったこと自体ではなく、産後の一番きつい数週間を妻と2人で越えた記憶が家に残らなかったことに集まります。そして、その5つの内訳のうち3つは、今からでも取り返せます。

数字も先に置きます。厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査(令和7年10月1日現在・2026年7月31日公表)で、男性の育児休業取得率は50.9%。前年度の40.5%から10ポイント以上上がり、初めて5割を超えました。もう「取らない側」は多数派ではありません。

ただし同じ調査で、育休から復職した男性の取得期間は1か月未満が合計で約49%。つまり取得率は「取ったかどうか」しか語っておらず、産後の山に居合わせたかどうかは別の話です。後悔の線は「取った/取らない」ではなく、ここに引かれています。

この記事でわかること

  • 男性育休の最新数値(取得率50.9%・1か月未満が約49%)と、そこから読める後悔の構造
  • 「取らなかった後悔」を5つに分解した早見表と、取り返せる/取り返せないの仕分け
  • 取らない4つの理由(職場が回らない・収入・前例がない・言い出せない)に、公的データで返す
  • 育休申請を受ける管理職の側から見た、いちばん困る言われ方といちばん助かる言われ方
  • 双子家庭で「取らない」が実質的に選べない理由と、期間が2倍にならないという制度の壁
  • 産後を過ぎてしまった人が、今からでも打てる手(分割取得・2025年の2つの法改正)
  • 妻側の「取らせなかった後悔」と、責めずに話を始めるための言い方

まず数字を置く。もう「取らない側」が少数派になった

感情の話をする前に、事実から始めます。

厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は50.9%でした(女性は88.3%)。前年度は40.5%、その前は30.1%です。政府は「こども未来戦略」で民間企業について2025年までに50%という目標を掲げていましたが、これが達成された形になります。次の目標は2030年に85%です。

一方で、事業所側から見た数字も見ておく価値があります。同じ調査では、配偶者が出産した男性がいた事業所のうち、男性の育児休業取得者がいた事業所は57.1%。裏返すと、約43%の事業所には、まだ1人も取得者がいないということです。

この2つの数字の並びが、後悔が生まれる構造そのものだと思っています。

あなたが判断した時点では「うちの会社に前例がない」は本当だったかもしれません。ところが数年たつと、社会全体の平均は動きます。子どもが幼稚園に上がる頃、小学校に入る頃、周囲のパパが当たり前のように育休の話をしているのを聞いて、初めて自分の選択が相対化される。後悔は、判断した瞬間ではなく、あとから遅れてやってくる。これが厄介なところです。

だからこそ、後で読む方のために書いておきます。今この記事を出産前に読んでいる人は、数年後の平均値と比べられることを織り込んで決めた方がいいです。

取得率が上がっても、産後の山は埋まっていない

もう一つ、あまり報道されない数字があります。取得期間の分布です。

同じ令和7年度調査で、育児休業から復職した男性の取得期間は次のようになっています。

取得期間割合(男性)
5日未満6.8%
5日〜2週間未満14.1%
2週間〜1か月未満28.0%
1か月〜3か月未満30.3%
3か月〜6か月未満10.1%
6か月〜8か月未満5.2%
8か月〜10か月未満1.1%
10か月〜12か月未満2.4%
12か月〜18か月未満1.8%

※18か月以上および不明(各0.1%)は省略しています

1か月未満を足すと約49%。ほぼ半数です。3か月未満まで含めると約79%になります。

産後の体は、出産という大仕事から回復している途中です。一般に産後6〜8週間は産褥期と呼ばれ、無理をしない方がよい期間とされています。その期間の全部をカバーできる長さで休んでいる男性は、取得者の中でも多数派ではない。これが2026年8月時点の現実です。

ちなみに、男性育休取得者のうち58.3%が産後パパ育休(出生時育児休業)を利用しています。産後パパ育休は出生後8週間以内に最大4週間という枠なので、この比率の高さが「短期取得が多い」ことを裏づけています。

ここから言えることは1つです。「取ったか、取らなかったか」で自分を採点しない方がいい。5日休んだ人と3か月休んだ人は、統計上はどちらも「取得者」ですが、家の中に残る記憶はまったく違います。逆に、育休の形にならなくても年休や在宅勤務を組み合わせて産後の山に居合わせた人は、統計に載らないだけで、家庭内の評価はかなり高いはずです。

「取らなかった後悔」は5つに分かれる

ここが本題です。「後悔しています」という一言の中身は、実際には別々の5つが混ざっています。混ぜたままだと、打つ手が見つかりません。

#後悔の種類実際に出てくる言葉取り返せるか
1妻の記憶に残る後悔「あの時いなかったよね」と何年も言われる◎ 対話でしか埋まらないが、埋まる
2子どもとの時間の後悔「新生児の頃の写真に自分が写っていない」△ その時期は戻らない。別の時期に作る
3お金の後悔「給付金の存在を知らずに欠勤扱いにした」◎ 次の子・分割取得で使える
4キャリアの後悔「休んだら戻れないと思い込んでいた」◎ 前提が事実と違っていた可能性が高い
5家庭内の初期設定の後悔「9年たっても育児の判断が全部妻に集まる」○ 手間はかかるが動かせる

順番に見ていきます。

1. 妻の記憶に残る後悔

これが、いちばん長く残ります。産後の記憶は、こちらが思っている以上に妻側に鮮明に残っています。

我が家は帝王切開での出産でした(その日のことはこちら)。そして産後5日目、退院した直後の朝に、妻が「ねえ、私一人でどうしろって言うの」と言いました。9年たっても、私はその声の温度を覚えています。これは責められたというより、状況の説明でした。新生児が2人いて、母体は手術の直後で、大人の手は足りていない。あの言葉は感情ではなく、事実の報告だったのだと今は思います。

この種類の後悔は、休みを取り直しても消えません。消えるとしたら、話をした時だけです。方法は後半に書きます。

2. 子どもとの時間の後悔

新生児期は戻ってきません。これは正直に「取り返せない」と書きます。

ただ、子どもの側に「あの時いなかった」という記憶はありません。記憶が始まるのはずっと後です。だからこの後悔は、実は自分のための後悔です。それなら、今から作れる時間で埋めるしかない。うちの場合、9歳になった今のいちばんの楽しみは、双子との他愛もない会話です。父がふざけると本気でツッコんでくる。この時間は新生児期の代わりにはなりませんが、「あとから作った時間」は確かに存在します

3. お金の後悔

制度を知らずに、有給や欠勤で処理してしまうケースです。これは知識の問題なので、次から取り返せます。

とくに2025年4月に出生後休業支援給付ができました。厚生労働省の説明によると、子の出生直後の一定期間内に原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前の給与の13%が支給されます。育児休業給付(67%)と合わせて給付率80%、手取り10割相当という設計です。

「収入が減るから取れない」という判断は、2025年3月までと2025年4月以降で前提が変わっています。数年前に計算して諦めた人は、もう一度計算し直す価値があります(支給要件の最終確認はハローワークと勤務先へ)。

4. キャリアの後悔

「休んだら評価に響く」「戻る場所がなくなる」。これで諦めた人は多いはずです。

数字を見ると、令和7年度調査では育児休業を終えて復職予定だった男性の98.1%が実際に復職しています(退職は1.9%)。女性は復職92.1%、退職7.9%です。少なくとも「休んだら戻れない」という前提は、統計的には支持されていません

評価がどうなるかは会社ごとに違うので、そこは断定しません。ただ、2025年4月から従業員数300人超の企業に育児休業等の取得状況の公表が義務づけられました(それ以前は1,000人超)。自分の会社の実績を、交渉の前に数字で確認できる時代になったということです。ここは使わない手はありません。

5. 家庭内の初期設定の後悔——本命はここ

5つの中で、私がいちばん重いと思っているのがこれです。

産後の数週間で、その家の育児のオペレーションが固まります。誰が夜中に起きるか。誰が保健センターに電話するか。誰が予防接種の予定を覚えているか。誰が着られなくなった服のサイズを把握しているか。この初期設定は、驚くほど長く効きます。

そして厄介なのは、初期設定は「作業の分担」ではなく「判断の所在」で決まることです。手を動かす量を後から増やすのは簡単ですが、「気づいて、決める」役をあとから移すのは相当きつい。産後にいなかった側は、そもそも何を判断すべきかのリストを持っていないからです。

9年たった今でも、我が家でこの偏りが完全に消えたとは言いません。ただ、動かないわけでもありません。私は帰宅したらまず妻の顔を見るようにしています。子どもを叱るスイッチは玄関で切る。寝かしつけは父の担当にしました。これは根性の話ではなく、判断の所在を少しずつ移す作業です。詳しくは双子の父親が”育児しない”夫婦の末路に、我が家の分担ルールとして書いています。

「取らない理由」4つに、データで返す

管理職として相談を受けていると、取らない理由はだいたい4つに集約されます。1つずつ返します。

理由A「職場が回らない」

いちばん多い理由で、いちばん本当っぽく聞こえます。でも、制度は最初からそれを想定して作られています。

  • 産後パパ育休は2回に分割できます。実際、産後パパ育休の規定がある事業所の95.4%が「2回(法定どおり)」を取得可能回数としています
  • 通常の育児休業も2回まで分割できます
  • つまり「4週間まるごと消える」ではなく、「2週間×2回」「出産直後に2週間+退院後の山場に2週間」といった設計ができます

ただし現実的な注意もあります。産後パパ育休は労使協定があれば休業中に一部働くこともできますが、令和7年度調査でこの労使協定を締結している事業所は25.5%にとどまります。4事業所のうち3つは締結していないということです。「休みながら少し働けばいい」という前提で計画を立てると、当てが外れる可能性があります。最初から「働かない前提の分割」で設計する方が安全です。

理由B「収入が減る」

前述の出生後休業支援給付で、前提が変わりました。両親ともに14日以上取れば、最大28日間は手取り10割相当という設計です。加えて育休中は社会保険料の免除もあります(条件があるので勤務先の人事へ確認を)。

「減る」は事実でも、「いくら減るか」は計算しないと分かりません。計算せずに諦めた人が、あとで「取れたじゃないか」と気づくパターンが、お金の後悔の典型です。双子の場合は出産費用のインパクトも大きいので、双子の出産費用、帝王切開で本当にかかった金額と合わせて家計全体で見てください。

理由C「うちの会社には制度がない・前例がない」

令和7年度調査では、産後パパ育休の規定がある事業所は69.6%。逆に言えば約3割には規定がありません。

ただし、就業規則に書いていないことは、取れない理由にはなりません。育児・介護休業法に基づく権利なので、規定の整備が追いついていないだけの会社は現実に存在します。この場合、話す相手は直属の上司ではなく人事・労務です。困ったときは各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談を受け付けています。

理由D「言い出せない」

令和7年度調査では、妊娠・出産の申出をした労働者に対して育児休業制度等の個別の周知・意向確認を行っている事業所は76.9%約23%は行っていません

つまり4事業所のうち1つは、会社の側から聞いてくれない。待っていても始まらない可能性がそれなりにある、ということです。なお2025年4月からは、妊娠・出産の申出時の個別周知・意向確認に加えて、法改正が段階的に進んでいます(後述)。

申請を受ける側から言うと、いちばん困るのは「直前」

ここは管理職としての本音です。一般化して書きます。

いちばん困るのは、直前に言われることです。人の配置も、引き継ぎも、繁忙期の読みも、時間さえあればどうにでもなります。逆に言えば、時間がないとどうにもならない。だから私は、部下には「取るかどうか迷っている段階」で言ってほしいと思っています。決まってからでなくていい。

もう一つ。育休で職場が回らなくなったとしたら、原因は育休ではありません。その業務が1人にしか分からない状態になっていたことが原因です。育休は引き金にすぎない。これは管理職側の課題であって、休む本人が背負う話ではないと考えています。

法律上、育児休業の申出は原則として休業開始の1か月前まで(産後パパ育休は原則2週間前まで)とされています。ただ、実務の感覚で言えば期限は「言っていい最遅のタイミング」であって、「言うべきタイミング」ではありません。早く言った人ほど、希望どおりの形で取れています。

双子家庭は、そもそも「取らない」が選べない

ここからは双子の話です。

単胎のご家庭でも産後は大変ですが、双子は種類が少し違います。授乳・おむつ・抱っこが、ほぼ同時に2人分発生するからです。人間の手は2本しかありません。片方が寝たと思ったら、もう片方が泣く。これが24時間続きます。

そのうえ、双子は帝王切開になるケースが多く、管理入院を経ることも珍しくありません。産後の母体は回復途中、新生児は2人という構図です。「あったら助かる」ではなく「ないと物理的に回らない」に近い。1日のリアルな回し方は双子ワンオペの1日スケジュールにまとめました。

なお、制度上の残念な事実も書いておきます。双子でも育休の期間は2人分にはなりません。育児休業は「子の年齢」を基準にした制度なので、同時に生まれた双子の場合、取得できる期間は単胎と同じです。作業量は2倍でも、休める長さは同じ。だから双子こそ、期間ではなく「どの時期に、誰と重ねるか」の設計勝負になります。ここは双子のパパ育休はいつ・どれくらい取る?で具体的に組み方を書きました。

それから、家族の総力戦になることも覚悟しておいた方がいいです。我が家は後年、双子の喘息での入院付き添いを経験しましたが、あれは意識が飛びそうなほどきつかった。妻はもっときつかったはずです。手伝いに来てくれたおばあちゃんは、抱っこの繰り返しで腱鞘炎になりました。大人3人がかりでも足りない場面があるのが双子です。人に頼る話は双子ママ、もっと周りに頼っていいにも書いています。

出産当日、私の携帯は鳴った

最後にひとつ、笑い話のような実話を。

双子が生まれた、まさにその日です。会社の現場でトラブルが起きて、部下から「どうしたらいいですか」と電話がかかってきました。私が返した言葉は、これでした。

「それどころじゃねえ!」

今思えば、あの電話がすべてを表しています。出産当日ですら、休む段取りをしていなければ仕事は追いかけてくる。育休を「取る」というのは、休暇を申請することではなく、連絡が来ない状態を事前に作っておくことです。ここを設計しないまま休むと、家にいるのに心はずっと職場にある、という最悪の形になります。

産後を過ぎてしまった人へ。今からできること

すでに産後を逃した人向けに、現実的な手を並べます。上から順に、効きやすい順です。

手1:子が1歳になるまでなら、まだ育休は取れる 育児休業は原則として子が1歳になるまで、保育園に入れない等の事情があれば1歳6か月、最長2歳まで延長できます。しかも2回まで分割可能。「産後に取れなかった」ことと「もう取れない」ことは別です。生後6か月でも、10か月でも、要件を満たせば取れる可能性があります。夜泣きが本格化する時期に父がいる価値は、産後直後に劣りません。

手2:2025年4月からの改正を使う 2025年4月1日施行分として、所定外労働の制限(いわゆる残業免除)の対象が、3歳未満から小学校就学前の子を養育する労働者まで拡大されました。あわせて子の看護休暇が「子の看護等休暇」となり、対象が小学校3年生修了まで延長、取得事由に感染症による学級閉鎖や入園式・卒園式なども加わっています。育休そのものが終わっていても、使える枠は増えています。

手3:2025年10月からの改正を使う 2025年10月1日施行分として、3歳以上・小学校就学前の子を養育する労働者に向けた「柔軟な働き方を実現するための措置」が事業主の義務になりました(始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務などの選択肢から2つ以上を措置し、労働者が1つ選ぶ形)。さらに妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮も事業主の義務になっています。会社が聞いてくれるはずの場面が、法律上増えているということです。小学生になってからの働き方は時短勤務はいつまで?にまとめました。

手4:時間ではなく「判断」を引き取る 制度以外で、いちばん効くのがこれです。前述した初期設定の話に戻ります。手を動かす量を増やすだけでは、妻の負荷はさほど下がりません。「覚えている役」を引き取ってください。予防接種の次の予定、靴のサイズ、園や学校の行事の日程、切らしそうな消耗品。この頭の中の在庫管理を半分持つと、家の空気が変わります。父親の役割の考え方は子育てにおける父親の役割とは?に詳しく書きました。

手5:妻と、その話を1回だけする 避けたくなる手ですが、1の後悔はこれでしか動きません。次章に書きます。

妻側の「取らせなかった後悔」もある

見落とされがちですが、妻の側にも後悔があります。「頼めばよかった」「言っても無駄だと思って、言わずに我慢した」。この後悔は、夫の後悔と対になっています。

両方が後悔しているのに、どちらも言い出さない。これが数年続くと、夫婦の会話は業務連絡だけになります。我が家も一度そうなりかけました(夫婦仲が壊れかけた話)。

話を始めるときのコツを、経験の範囲で3つだけ。

1. 弁明から入らない 「あの時は仕事が」で始めると、その先は聞いてもらえません。事情は事実でも、最初に置く言葉としては最悪です。

2. 事実を1つ確認する形にする 「産後、いちばんきつかったのはいつだった?」。責任の話ではなく、事実の質問にする。相手が話し始めたら、遮らない。ここで解決策を出そうとすると、また失敗します。

3. 未来の1つを決めて終わる 過去の清算をゴールにしないことです。「じゃあ来月から、通院の予約は自分が取る」でいい。後悔は謝罪では減らず、次の行動でしか減りません

これから出産を迎える夫婦なら、この会話は産前にやっておくのが最善です。何を準備すべきかは双子の妊娠がわかった夫がやることリストにまとめてあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 産後に取れませんでした。今からでも育休は取れますか?

要件を満たせば取れる可能性があります。育児休業は原則として子が1歳になるまで(事情により1歳6か月、最長2歳まで)取得でき、2回まで分割できます。産後を逃したことと、育休が終わったことはイコールではありません。実際の可否と手続きは、勤務先の人事・労務とハローワークに確認してください。

Q2. 2週間だけでも意味はありますか?

意味はあります。令和7年度雇用均等基本調査では、育休から復職した男性の1か月未満が合計で約49%(5日未満6.8%、5日〜2週間未満14.1%、2週間〜1か月未満28.0%)。短期取得は例外ではなく、むしろ現在の標準に近い形です。大事なのは長さより、産後の一番きつい時期に重ねられるかだと考えています。2週間を出産直後と退院後の山場に分割する、という設計もできます。

Q3. 育休を取ると出世や評価に響きませんか?

評価の運用は会社ごとに違うので断定はできません。ただ、令和7年度調査では育児休業を終えて復職予定だった男性の98.1%が実際に復職しています(退職1.9%)。「休んだら戻れない」という前提は、統計上は支持されていません。加えて2025年4月から従業員300人超の企業には育児休業等の取得状況の公表が義務づけられています。自社の実績を確認してから相談するのが現実的です。

Q4. 双子だと育休は2倍取れますか?

取れません。育児休業は子の年齢を基準にした制度なので、同時に生まれた双子の場合、取得できる期間は単胎と同じです。作業量だけが2倍になります。だからこそ、期間を伸ばす方向ではなく、産後パパ育休(最大4週・2回分割)と育児休業(2回分割)を、夫婦でどう重ねるかの設計が要になります。組み方は双子のパパ育休の記事へ。

Q5. 夫が「うちの会社は無理」と言います。どう話せばいいですか?

「無理」の中身を1つに絞ってもらうのが早いです。人手なのか、収入なのか、前例がないのか、言い出しにくいのか。それぞれ返し方が違います。人手なら分割取得(産後パパ育休は2回可)、収入なら出生後休業支援給付(両親ともに14日以上で最大28日間、育休給付と合わせて手取り10割相当)、前例がないなら人事・労務へ、という具合です。「取って」ではなく「どれが引っかかってる?」から入ると、会話が終わりにくくなります。

Q6. お金は結局どれくらい減りますか?

制度上は、育児休業給付が休業開始前賃金の67%(181日目以降は50%)で、2025年4月に創設された出生後休業支援給付が要件を満たす場合に最大28日間13%上乗せされ、合計80%=手取り10割相当という設計です。加えて社会保険料の免除もあります。ただし上限額や個別の要件があるため、実額は必ずハローワークと勤務先で試算してください。この記事の数字は2026年8月時点の制度に基づくものです。

まとめ:後悔は減らせる。ただし、話さないと減らない

  • 男性の育休取得率は50.9%(令和7年度・2026年7月31日公表)で初の5割超え。もう「取らない側」が多数派ではない
  • ただし取得期間は1か月未満が約49%。取得率は「産後の山にいたか」を語らない。後悔の線はここに引かれる
  • 「取らなかった後悔」は5つに分かれる。妻の記憶/子との時間/お金/キャリア/家庭内の初期設定。取り返せないのは2つ目だけ
  • 取らない理由には返しがある。人手→分割取得、収入→出生後休業支援給付(手取り10割相当)、前例なし→規定がなくても権利、言い出せない→4事業所のうち1つは会社から聞いてくれない
  • 双子は制度上期間が2倍にならない。長さでなく重ね方で設計する
  • 産後を過ぎても、1歳までの分割取得・2025年4月と10月の法改正で打てる手が残っている
  • いちばん効くのは、作業量ではなく「覚えている役」を半分引き取ること

取らなかったという判断そのものを、失敗だと呼ぶつもりはありません。当時の状況で、当時の情報で決めたことだからです。失敗があるとすれば、決めた理由を夫婦で共有しないまま何年もたってしまうことの方です。後悔の正体は、たいてい休んだ日数ではなく、共有されなかった判断の側にあります。

もう遅い、と思っている人へ。9歳になった娘たちは、今でも私がふざけると本気でツッコんできます。休みの日、ズボンを履き忘れて玄関を出ようとした時は、2人が真剣に止めてくれました。あの時いなかった時間は戻りませんが、今日の時間は今日しかない。焦らず、でも先送りせず、マイペースにいきましょう。

※本記事は2026年8月時点の情報です。育児休業と給付金は改正の多い分野です。取得可否・期間・金額の最終確認は、勤務先の人事労務、ハローワーク、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へお願いします。

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出典

  • 厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」(令和7年10月1日現在・2026年7月31日公表。事業所調査 第12表 育児休業者割合〈男性50.9%・女性88.3%〉、第10表 育児休業者の有無別事業所割合〈配偶者が出産した者がいた事業所のうち育児休業者ありは57.1%〉、第14表 男性育児休業者割合うち産後パパ育休取得者割合〈男性育児休業者に占める産後パパ育休取得者58.3%〉、第15表 育児休業終了後の復職者及び退職者割合〈男性の復職98.1%・退職1.9%〉、第16表(3-3) 取得期間別育児休業後復職者割合(男性)〈5日未満6.8%/5日〜2週間未満14.1%/2週間〜1か月未満28.0%/1か月〜3か月未満30.3%/3か月〜6か月未満10.1%ほか〉、第4表 産後パパ育休制度の規定の有無〈規定あり69.6%〉、第6表 産後パパ育休取得可能回数〈2回(法定どおり)95.4%〉、第7表 個別の意向確認の実施状況〈行っている76.9%・行っていない23.0%〉、第9表 産後パパ育休期間中の就業に関する労使協定の締結状況〈締結25.5%〉。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r07.html
  • 厚生労働省「出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)」(子の出生直後の一定期間内に原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前の給与の13%を支給。育児休業給付とあわせて給付率80%、手取り10割相当。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/syussyougo_kanishindan_00001.html
  • 厚生労働省「育児休業等給付について」(出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金は令和7年4月1日施行。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
  • 厚生労働省 イクメンプロジェクト「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正ポイントのご案内」(令和7年4月1日施行=子の看護等休暇の見直し〈小学校3年生修了まで〉、所定外労働の制限の対象拡大〈小学校就学前まで〉、育児休業取得状況の公表義務が従業員300人超の企業に拡大。令和7年10月1日施行=柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化〈3歳以上小学校就学前〉、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化。2026年8月5日確認) https://ikumen-project.mhlw.go.jp/kaisei_point/
  • 厚生労働省「育児・介護休業法について」(令和7年10月1日施行の改正内容〈柔軟な働き方を実現するための措置等・個別の意向聴取、配慮〉の施行期日を掲載。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
  • 厚生労働省リーフレット「2025年4月から出生後休業支援給付制度が始まっています」(給付率13%・最大28日間・あわせて80%で手取り10割相当、社会保険料免除・非課税、上限あり。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001599643.pdf
  • 厚生労働省「男性の育児休業取得率等の公表について」(2025年4月から従業員300人超1,000人以下の企業も公表義務の対象。2026年8月5日確認) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533_00006.html
  • こども家庭庁「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定。民間企業の男性育児休業取得率の目標として2025年に50%、2030年に85%を設定。2026年8月5日確認) https://www.cfa.go.jp/resources/kodomo-mirai

筆者は、一卵性双生児のサクラとモモを9歳まで育てている現役の双子パパ部長(営業部長)です。本記事は、男性の育児休業をめぐる「取らなかった後悔」について、厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査などの一次情報をもとに整理したものです。育休の取得可否・給付金額・評価の扱いは勤務先と個々の要件によって大きく異なるため、確定していない部分は「場合がある」「可能性がある」として正直に書いています。制度の最終確認は、勤務先の人事労務・ハローワーク・都道府県労働局へお願いします。

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※あくまで楽しむためのお遊び診断です(科学的根拠はありません)

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双子パパ部長

一卵性双生児の父。サラリーマン営業部長として働きながら双子育児に奮闘中。 双子ならではの「3倍の喜び・2倍の大変さ」をリアルに発信しています。

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